活動報告・レポート
2025年8月11日(祝・月)
写真展「髪飾り」
写真展「髪飾り」

お世話になっている先輩の松尾さんが写真展「髪飾り」を画廊カフェ「赤尾」で開催しているので鑑賞してきました。今回のテーマ「髪飾り」は作者が京都を訪れた時に芸者さん達の見事な髪飾りに惹かれて撮影をした作品が展示されていました。松尾さんは今年の和歌山市展で「市長賞」を受賞しているので、どんなジャンルの作品も生み出すことができますが、今回は「光と影」をテーマにしているようです。

一つ目の作品を観た時に「光と影」を感じましたが、テーマを伺ったところそうだったので、このテーマの作品が並んでいました。撮影旅行でテーマを決めて対象を絞り込んでいますが、今回の作品は、その瞬間を待っている時間の息遣いを感じるようです。髪飾りを主役にした作品から、日本の伝統文化と今の時代に受け継がれている美を感じ取ることができます。「芸者さんと髪飾り」は日本らしい美の表現だと思います。

私たちの日常から失われた伝統が祇園で生き続けていることを分からせてくれる作品で、日本の美は世界に誇れるものであることを確信させてくれます。この美は自分を全面的に主張するものではなく、脇役として氣づくか、氣づかないかの美を感じさせてくれます。氣づいた人には発見の感動を与え、氣づかない人にも全体美を感じさせてくれるものです。

日本の美は自らを主張するものではなく、ひっそりと咲く花のような美しさにあります。

写真展「髪飾り」

松尾さんの「髪飾り」の作品から読み取れるのは、この日本の美だと思います。松尾さんは昨年の「赤尾」での写真展で「鉄塔のある風景」を私たちに見せてくれましたが、鉄塔もまちの主役の光景ではありませんが、静かな造形美を感じさせてくれるものでした。現代社会において街に溶け込んだ「鉄塔のある風景」は、現代文明で必要な美として存在している鉄塔を示してくれました。

今回の「髪飾り」は現代社会で見る機会は少なくなっていますが、やはり存在していると美を感じるアイテムです。

きっと作者は主役ではないけれど、それがないと主役の見栄えが整わないものをテーマにしているのだと思います。街と鉄塔、髪と髪飾りは共存して美を形成していますし、主役の美を引き立たせています。それを感じる、感じないは人それぞれですが、今回の作品は、それを感じさせてくれるものです。私たちは美を感じることで心が豊かになりますし、美は護らなければならないと思います。

「髪飾り」に美を発見した私たちは、現代社会においてもこれまでと同じように日本の伝統文化を護らなければならないと感じます。自然が創り出している美は素晴らしいものですが、人が創り出している美もまた美しいものだと感じます。

つまり日常生活で美に出会うことは少ないのですが、美を意識することで日常生活の中に美が潜んでいることを分からせてくれます。日常生活で美を感じられたら、その日の心は豊かになりますしその美を護りたいと思います。私たちは美を感じることで、何気ない日常こそ護るべきものであり、かけがえのない日だと分かるのです。

写真展「髪飾り」

松尾さんの今回の作品は、美を意識することで日常生活の中で美を発見できますし、美を発見できた日は幸せだと感じられることを伝えてくれています。日常を幸せにしてくれるものには「美」「格好いい」「素晴らしい」「かわいい」など色々な表現がありますが、今回の作品はそんな表現ができるものに出会える感性や行動を心掛けたいと思わせてくれます。

写真展の案内をしてくれた松尾さんに感謝していますし、作品展の場所を提供して作品の話を聴かせてくれる画廊カフェ「赤尾」さん、にも感謝しています。皆さんも会期中、是非、画廊カフェ「赤尾」を訪ねて、日本的な美を感じてください。