活動報告・レポート
2025年7月6日(日)
県政報告会

令和7年6月県議会一般質問の内容を報告するために県政報告会を開催しました。午前11時30分から約50分、集まってくれた約100人の皆さんに報告しました。最初から熱量を込めて報告、そして訴えました。

県政報告会

おはようございます。日曜日にも関わりませず、皆さまにお集りいただいたことに感謝いたします。時間が限られていることとストレートに伝えたいことがありますので、早速ですが県議会の質疑の内容を報告いたします。

今回はJR和歌山駅周辺の再整備も話そうかと思っていたのですが「和歌山IR」一点に絞って報告します。「和歌山IR」とは統合型リゾートのことで、カジノ施設を含むリゾート施設のことです。ここではホテルやコンベンションセンター、競技施設や和歌山県の文化と歴史を訪ねる拠点、ショッピングモールや飲食店などを含めた一大リゾート施設です。「大阪・関西万博」隣接地で工事が始まっているので、何となくイメージできる人もいるかと思います。私も将来の和歌山市の発展を目指して企業誘致の取り組みを行ってきましたが、残念ながら和歌山市に基幹産業は来てくれていません。この先も基幹産業進出に向けての取り組みは継続しますが、かなり困難だと思っています。

さて私たちの和歌山市が、昭和40年代以降、衰退してきた歴史は皆さんもご存じだと思います。和歌山市を知っている人であれば、衰退していないと思っている人は少ないと思います。昨日、簡単に大きな出来事をおさらいしてみました。

一つは住友金属和歌山製鉄所が現在の工場から西防波堤沖に移転する計画がありましたが、実現せず千葉県鹿島市に行ってしまったことです。当時は公害問題があったようですが、その対策として西防波堤沖を埋め立て、そこに移転する計画となりましたが、強い反対が起きたため結果として鹿島市に新工場を建設したのです。そこで失われた雇用と経済損失は、その時だけではなくて、その後の和歌山市経済に大きく影響を与えています。

県政報告会

続いて私が20歳代だったころ、ユニバーサル・スタジオが和歌山市に来るという話がありました。その真偽は不明ですが、コスモパーク加太に進出交渉を進めていると、当時の市長と直接、話をして聴きましたから、本当だったと思います。結果としてUSJは大阪市に進出したのですが、大阪市と競い合って負けたのか、譲ったのか分かりませんが、和歌山市に進出してくれませんでした。今のUSJの人気を思うと、和歌山市に進出していたら観光客が訪れるのは勿論、地元雇用と周辺産業に与える経済効果は相当のものだったと思います。しかも設備更新をしていますから、毎年のように仕事が発生しています。

そして私も仕事で関係していましたが、LNG火力発電所建設計画がなくなったことです。これは当時の関西経済の事情が原因で、電力需要が低迷したことで計画は中止になりました。建設予算額は3,000億円程度だったと記憶しています。発電所が建設されていたら、そこに大きな雇用も生まれていたのです。

簡単に歴史を振り返りましたが、住友金属和歌山製鉄所の一部が鹿島に移転、ユニバーサル・スタジオの誘致失敗、火力発電所の計画中止によって和歌山市の経済も雇用も縮小していったことが分かります。これらの計画が実現していれば、和歌山市の今、人口も経済規模も雇用も観光客の入り込みも違った姿になっていたのは確実です。

誰の責任とは言いませんが、当時の和歌山県と和歌山市の権限者の皆さんが、一部反対意見があっても多数意見を元にリーダーシップを発揮していれば、大きな企業が和歌山市にあることの大切さを理解していたら、住友金属の新高炉建設やユニバーサル・スタジオの誘致は実現できていたと思います。火力発電所の計画中止は県政と市政の問題とは少し異なりますが、賛成意見を元に判断していたらもっと早く進めていたら違った結果になっていたかもしれません。

県政報告会

つまり和歌山県や和歌山市の発展につながる大きな投資があるのに、一部の反対意見を理由に判断を遅らせたり、判断できなかったことで和歌山市は衰退の道を辿り始めたのです。近世にこんな出来事があったことを思い出して欲しいのです。

何故なら、今の時代でも同じことを繰り返そうとしているからです。統合型リゾートは法律で三か所認可を与えることになっていますが、既に大阪は建設が始まっており、東京も申請する準備を進めていると聞いています。東京が申請をすれば、国が却下する理由はありませんから認可されることは確実です。そうなると認可の残りは一か所となります。

この一か所を巡っていくつかの地方自治体は国と事前協議をしているようですが、実は和歌山県は有力な候補地です。前回の申請のノウハウがありますし、県民の皆さんを対象とした公聴会もパブリックコメントも聴きとり事業計画と申請書類を作成しています。他の地方自治体よりもスタート地点が前にあるわけです。

お配りしているペーパーで確認してください。私の6月県議会での一般質問の結果が外国のメディアに取り上げられています。パンダ返還や南海トラフ地震の可能性などの記事が取り上げられることはありますが、和歌山県議会の質疑が外国メディアに取り上げられることは珍しいことだと思います。このことだけでも、世界に知られていない和歌山県を知ってもらえる機会となっているので喜ばしいことだと思っています。

観光庁長官の発言では「他の魅力的な観光施設を備えた新たな観光拠点を一箇所に整備することです。次回のIR申請もそう遠くない時期に行われるはずです」とコメントしています。恐らく今年の秋、9月ごろに動きがありますから、今から県民の皆さんの意見を聞き、判断できるための意向を把握しなければなりません。これまで先端産業や半導体、DXなどの産業の誘致に取り組んできましたが、実現できていません。懸命に取り組んでも実現できていないのです。誘致目標として掲げることは良いことですが、唱えるだけでは衰退に歯止めはかかりません。

県政報告会

「和歌山IR」はこの最後の一つを決める中に入らなければ、二度と機会は訪れません。今回が最後のチャンスなのです。繰り返しますよ。住友金属の沖出し、ユニバーサル・スタジオ誘致、火力発電所の建設は意思決定ができなかったことや判断ミスで失敗してしまい、和歌山市の衰退を招いています。今、また同じことを繰り返して良いと思いますか。「和歌山IR」は直接雇用が約6,500人、周辺産業まで含めると約3万人を予想しています。建設時の投資は約8,000億円から1兆円、一年間の税収は約400億円です。

和歌山県が公共投資を求めても事業がなければ予算はつけてくれませんよ。事業がないけれど予算をつけてと言っても国は予算配分してくれません。どんな国会議員がいても同じです。では要らない公共事業を作り出すようなことは税金の無駄になりますし、不必要な公共事業を作り出してしまうと、それは利権になります。

今の和歌山県では公共投資の大幅な増額は見込めないので、それなら大型の民間投資を受け入れることで経済効果と雇用増加、そして税収増を目指すべきです。教育も福祉も道路も、全てはお金があることが前提です。お金が不足していたら私たちが求める施策もできないのです。

これまで何度、役所の「お金がありません」の言葉を聞いてきたことでしょうか。お金がないからできないのであれば、民間投資を呼び込めばよいのです。その一つが「和歌山IR」ですから、可能性があるのに判断を遅らせて「実現できなかった」ことにしてはなりません。もう失敗の歴史を上書するのは止めなければなりません。

ただ国の動きは今年の秋です、9月です。今、動きを始めなければ二度とチャンスは訪れません。皆さんには和歌山市の将来を考えていただき、「和歌山IR」の後押しをいただくことを願っています。次回は8月初旬、その次は9月にこの続きの報告会を開催しますので、是非ともお集まりいただきますよう、お願いいたします。本日はありがとうございます。

以上が県政報告会で伝えた内容です。