新知事が誕生したことから和歌山県の令和7年度当初予算案を読んだ方から意見を頂きました。「なるほど」と思うことでした。
令和6年度もそうでしたが、材料費も最低賃金も上がり人件費も増やしています。またインフレで光熱費などその他の経費も上がっています。私の会社では昨年4月、物価高騰に備えるため、大手企業ほどはいきませんが少しだけでも従業員さんの給与を上げています。
そこで県に言いたいのですが、県は県内企業に賃上げを求めています。そこで県内企業で県庁と取引をしている会社は多数ありますが、県の予算が抑えられているのです。県予算が物価上昇分を見込んでくれていないのですが、現実は必要経費が増加しているので県への見積価格は経費に適正利益を乗せて上げたいのです。しかし大手企業が参加すると見積価格を抑えてくるので小規模事業者は落札できませんし、利益をなくしてまで見積することはしません。だから県の仕事を受注する機会が少なくなっています。仮に利益を削って見積して仕事を取ったとしても、それでは会社をやっていけませんし、賃上げをしたくてもできません。
県が地元企業に賃上げを要請するのであれば、県予算も物価上昇に見合った増額をして組んで欲しいと思います。県予算を対前年度比で削減することは、しわ寄せが地元企業に行くことになり、賃上げ要請とは逆行することになります。
私の会社は民間の仕事を増やしているので県に頼ることは控えていますが、同業者で県の仕事をしているところは「単価が厳しい」と嘆いています。
もちろん県内に事業組合はありますが、事業組合として入札予定額の増額を要請していますが、現実は予定額以内で見積もりして落札している事業者がいるので、県の答えは「予算増額の必要性はない」ということになっています。つまり事業組合としての要請は無意味な結果になっているのです。
公共の仕事は入札が原則ですから、落札している事業者が利益を出せるよう業務改善を行い、体質改善を図っているのだとすれば口出しできません。しかし自転車操業で仕事を獲らなければとの思いで利益が薄くても落札をしているのであれば事情は異なります。とても従業員さんの給与を上げられないだろうし、業界全体として賃上げをしなければ地域経済が上向くことはありません。それは県がとるべき姿勢ではないと思います。県内事業者が適正な利益を得られるよう健全育成を図ることも県の役割だと思います。
県の財政主幹箇所は県予算の削減を図り行政改革を推進することが使命ですが、各部署は、所管する事業者の育成と成長を目指すことが役割だと思います。それが県の発展につながり県内経済の成長につながります。
令和7年度予算案を見たところ、私の業界の仕事に関わる総予算額は前年とほぼ同じでした。発注見込みの仕事量が同じだとすれば、物価上昇率も県内企業の賃上げも見込んでいない予算編成になっていると思います。もう少し業界の意見を聴いていただき、予算に反映してくれたらと思います。
懇談した結果、以上のような意見がありました。僕も昨年度、岸本知事に対して「県内事業者の賃上げを求めて欲しい」と質疑を行い、知事も賛同して県内企業に賃上げを期待している趣旨の答弁をいただいています。この問題への対応は県が率先して欲しいと思いますが、現実はまだまだそうなっていないようです。この問題は新知事に対しても継続して訴えていきます。