令和7年6月3日の朝日新聞の記事を読んだ方々から問い合わせがあります。記事のタイトルは「備蓄米ブレンド 価格に地域差 和歌山4480円 北海道2980円」です。
この記事の内容の一部を抜粋します。
入札で出した備蓄米は、地域ごとの価格差も課題になっている。農水省は2日、備蓄米とみられるコメの店頭での販売価格(原則5月29日時点)について、各都道府県で調べた結果を公表した。大半がブレンド米で、最高値は和歌山県の店舗で売られていた5キロ税抜き4480円。最安値は北海道の2980円。北海道や東北、北陸で、比較的安く売られる傾向がみられた。
この記事を読んだ方々から「和歌山県のお米の価格が高いのは何故ですか」や「備蓄米の価格差がこんなにあるのはおかしい」「和歌山県のお米の流通はどうなっているの」などの意見です。
この記事の出典は農林水産省が令和7年6月2日に出した資料で「政府備蓄米を含む複数原料米等の店頭価格調査結果」に基づくものだと分かりました。
この調査結果によると和歌山県のお米の価格は次の通りです。
調査店舗数 5件
最低価格 3,698円
中央値 3,989円
最高価格 4,480円
以上の結果です。確かにスーパーで販売されているブレンド米の最高価格は4,480円ですが、この価格は備蓄米ではなく通常のブレンド米の価格です。和歌山県では、備蓄米の現時点では流通はなく、備蓄米をブレンドしたものではない調査結果の最高価格は都道府県と比較して高くなっているのです。
言い方は難しいのですが、調査結果は備蓄米を含んだブレント米ではなく、備蓄米を含めてブレンド米を販売している都道府県と比較すると高いのは当然だということです。
和歌山県で随意契約に基づく備蓄米が販売されるのは令和7年6月中旬からだと聴いています。
従って、テレビや朝日新聞で報道された備蓄米を含むブレンド米最高価格に関しては、和歌山県は備蓄米を含まないブレンド米なので、報道は正しいものではないということです。
但し、和歌山県はお米を移入に頼っている県のため流通コストが高く、通常の販売価格は東日本の米どころの北海道や東北と比較すると高くなっていますし、米どころに近い東日本の県と比較しても高くなっています。
和歌山県は第一次産業が盛んですが田んぼの面積は比較的狭く、大規模農家が少ないことや山間部の田んぼも多いことから、収穫高が少なくなっています。そのため移入に頼っていることから和歌山県内の米価は比較的高くなっています。
参考までには令和6年の和歌山県の収穫高は全国42位の28,700トンです。
収穫高の上位5位は次の通りです。新潟県622,800トン、北海道562,400トン、秋田県490,000トン、宮城県366,100トン、福島県356,800トンです。和歌山県と東日本のこれらの県と比較して、収穫高はかなり低くなっています。
和歌山県の収穫高は多いと思っている人もいるでしょうが、実際はお米の移入県であることから輸送コストなどが加わり高い水準になっています。