教育者と民間学童保育を考えている方と会議を行いました。地方と都会を比較すると、残念なことですが都会の方が教育環境に優れています。小さい頃から学習機会がありますし、スポーツや文化でも体験することができます。外国語に関しても、東京ではインターナショナル幼稚園からインターナショナル小学校・中学校・高校があり、国内にいながら実践的な英語を身に付けることができます。
学校にしても、都会は地方と比較にならないほど進学先の選択肢がありますし、進学に適した学習塾もあります。また学習、スポーツ、芸術などすべての分野において一流の選手、指導者に師事出来る機会もあり、小さい頃から一流に触れることができています。さらに美術館や博物館には一流の展示物があり、外国の特別展は東京が中心です。芸術面でも一流に触れられる機会が多いのは都会です。
以上のことから、地方でいても不利益を被らないための学習機会をつくる機会を設けたいと話し合いました。
数年前、教育と進学に関して同級生と話したことがあります。この同級生は東京で学習塾を経営しているのですが、当時、興味深い話をしてくれたのです。
「私は最初、大阪市内で学習塾を経営していました。進学塾ですが実績が上がったのでたくさんの生徒が来てくれていました。当時、私が目指していた進学先は国公立大学と関関同立でした。関西にいると目指すべき大学は、この辺りだったのです。大阪市内ではこれらの大学への実績を上げられたのですが、早慶や東京大学、一橋大学は遠い存在でした。
そこで、ここを目指すために思い切って東京に進出しました。進出した最初は不安でしたが、立地条件も良く直ぐに生徒が集まり始めました。最初の授業で生徒に目指している大学を尋ねると、ほぼ全ての生徒は『東京大学、早稲田、慶応』でした。私は『このレベルを目指すのは難しいだろうな』と思ったのですが、全く思い違いをしていました。
それは生徒の意識が違うことに氣づいていなかったのです。東京で育った子どもにとって東京大学や早慶は当たり前の日常だったのです。小学校の時から、これらの大学は近くにある存在で、身近な子どもが東大や早慶に進学していたので、子ども達は『自分も行ける』と信じていたのです。つまり進学先の意識が違っているのです。
関西でいると関関同立は学校や塾の話題になりますが、早慶は話題になることは稀です。関西の生徒が目指すところは関関同立であり早慶ではないのです。しかし東京の生徒にとって早慶は当たり前で、東大でさえも視野に入れているのです。逆に東京の生徒は関関同立の話にはなりませんし目標にはなっていないのです。
目指すべき大学の意識の違い学習欲力の違いとなって現れるので、教えていると学力の伸びが違うのです。東京の生徒にとって当たり前のことであり、都会の強みだと言えます」という趣旨の話をしてくれたのです。
私は同級生に「〇〇君、塾に来ている生徒を早慶に合格させる自信はあるのですか」と尋ねると「早慶は当たり前に合格させる自信はあります。そこが無理でも最低、青山学院は合格させられます」と答えてくれました。凄い自信ですが、東京で塾を経営している同級生の彼にとって当たり前なのです。
このように東京と関西では目指すべきところに意識の差があります。
しかしこのことは子どもの才能の差ではなくて、環境の差であるとこを意味しています。彼も関西でいるときは関西の大学を目指していて東京の大学は遠い存在でしたが、東京で教えていると、東京の大学を目指すことが当たり前になっているのです。環境の差以外の何物でもありません。この環境による意識の差が都会と地方との差なのです。
だから地方でも一流を目指せる環境と意識づけを行うことで、差を埋めることは可能だと思います。大人がそれを信じて実行するかどうかの違いです。
会議の席で、参考になる数字が示されました。「私の塾の売り上げの90パーセントは県外です。和歌山県内の売り上げは10パーセントの比率です」ということです。つまり教育に費やすお金は、都会が地方を圧倒しているということです。地方における教育の課題を突き付けられた感があります。
本日の会議で、この点を解決するためのしくみを考えることにしました。