
阪南大学を訪問し大学でのeスポーツの取り組みについて話を聴かせてもらいました。総合情報学部三好学部長と花川教授、そして大学院生の後藤君の三人です。
阪南大学では令和4年から大学内でeスポーツ大会を開催していますが、企画、運営など大学生が担当していることが特長です。一般的にイベント運営は外部委託することが多いのですが、同大学ではeスポーツは専門科目でもあり大学生がほぼ全てを担当しています。本年も大学で大会を開催する計画であり、どんな大会になるのか見学しようと思っています。さて花川教授から説明を聴かせてもらいましたが、大学の授業として取り組む学問としてのeスポーツは次のような考え方によるものです。教授の資料を基に以下、要点を記します。
アカデミアとして「本当にeスポーツを取り入れると教育効果があがるのか?」の疑問に答えるための研究「市販ゲームを利用して情報弱者のITリテラシーが向上するか?」などの疑問を定量的に解明する研究を志向しています。
そのためeスポーツ産業を単なるエンターテインメントの一部とするだけでなく、教育分野等の他分野への適用範囲をひろげて「eスポーツと教育」「eスポーツと福祉」「eスポーツと健康」等の社会に有益な成果を提供し、eスポーツ産業界の新しい価値を創造するために活動を実施しています。

このことは僕が令和7年2月県議会で取り上げたように、eスポーツは競技大会で地域を盛り上げることやビジネスにすることが大きな目的ですが、そこに加えて「eスポーツと教育」や「eスポーツと福祉」などの分野で生かすことも必要だとの提言に一致しています。
特にeスポーツをすると勉強にも好影響を与え、生徒の成績が上がることも知事答弁でありました。これはeスポーツ部で活動をしている公立高校の生徒の成績が上がったとの話を受けてのもので、クラブ活動と勉強に熱心に取り組むことによる相乗効果ですが、eスポーツでも同じ結果があるようです。
教育者からの「eスポーツと勉強は反比例しているのでは」の問いかけがありますが、どちらがより実態に近いのか導くことも課題です。
そこで阪南大学では、eスポーツを取り入れた新しい教育を授業で行っています。科目として「eスポーツイベント1,2」「eスポーツ実技分析」「e-Sports English」「Gaming English」などです。ここではeスポーツ産業界の動向、企画計画運営力などの社会人基礎力、データサイエンス能力、英語の基礎力を身に付けることを目指しています。
教授からは「eスポーツでは英語も使うので、外国語能力も高めていきたい」と話してくれたように、英語の専門用語が飛び交うeスポーツですから、練習や大会に参加することで英語力が高まるとも思われます。

加えて主要な世界大会は英語圏で開催されていますから、競技の舞台は世界です。日本人が大会に参加することも増えていくと思うので、eスポーツに英語は必須となります。他のスポーツと同じように、eスポーツは世界が舞台ですから英語力は必要なので授業で力を蓄えたいところです。
ここで、阪南大学総合情報学部でeスポーツを教育に取り入れる意義を紹介します。目的は、eスポーツなどのゲームの最先端高度技術を積極的に取り入れて、情報技術の深い知識と技能を獲得するとともに、企画計画力、実践力、マネージメント能力を身に着けることを目指します。
- eスポーツ産業界を知る。
科目「eスポーツイベント1」。eスポーツ産業に携わる産業界の講師、プロプレイヤーも講演予定。
- eスポーツ大会を知る。
科目「eスポーツイベント2」。模擬的なeスポーツミニ大会を開催して、eスポーツ大会企画計画運営方法を学ぶ。
- eスポーツで学ぶ
科目「eスポーツ実技分析」「e-Sports English」「Gaming English」。AI・データサイエンスをeスポーツのデータで学ぶ、英語をeスポーツで学ぶ。世界のゲーマーと英語でデータに基づく戦略で対等に対戦できる。
- eスポーツ大会を企画計画運営に関する総合力
科目ではなく課外・ゼミ活動。大学内外に公開するeスポーツ本大会、eスポーツミニ大会の企画計画運営を学生中心チームで実践する。
以上です。大学でeスポーツに取り組む意義が見えてきました。