活動報告・レポート
2025年1月29日(水)
お別れ
お別れ

約20年以上前からお世話になっていた民謡の会の先生がお亡くなりになりました。故人は納棺されていましたが、とても穏やかなお顔で生前と全く変わりない姿に手を合わせました。ご家族の方と話したところ「とてもきれいな顔です。お湯で体を洗ってもらい元の姿に戻りました」と話してくれました。

続いて喪主のご子息さんとも話しました。

「母は生前から片桐さん、片桐さんといつも嬉しそうに話していました。本当に良くしていただいていたことが分かります。民謡のお三味線のコンサートにも来てくれたことも嬉しそうに話していました」と言葉を伝えてくれました。

僕は、もう20年以上前からのおつきあいで、本当に良くしてもらっていました。朝の挨拶を交わした時は「片桐さん、よく頑張っていることを皆さんから聴いていますよ。熱心に活動してくれていることを頼もしく思っています」「健康に氣をつけてくださいよ。私は期待していますから」など話してくれました。民謡のコンサートにも行きましたし、その時の写真もお渡ししたら喜んでくれました。

朝の時間以外にも時々、売店にお顔を見に行ったのですが、チョコレートや菓子パンもいただくことがありました。もちろん、笑顔で「無理しないで」と声をかけてもらいながらです。長年、売店でお店の番をしていたのですが、ある日、訪れたところ「今月末で売店を閉めることになりました。みんなに良くしてもらって楽しかったです」と寂しそうな笑顔で話してくれたことを覚えています。

お店の番をしている人がいなくなった売店はシャッターが降ろされ、ひっそりと寂しい場所になっていました。そこにはいつも並べられていた商品も、笑顔も人のぬくもりもなくなっていました。やがて売店がないことが日常の風景になっていきました。温かい会話もお菓子もなくなり、歩く人もいなくなりました。

それでも常に僕のことを心配してくれていたので、つながりは保っていました。「健康は大丈夫ですか」「活躍してくれていることは私にとっても嬉しいことです」「期待の星ですから頑張ってね」などの言葉を伝えてもらっていました。

そして「桐和歌会」の会合にも顔を出してくれたことがあります。静かな笑顔で県政報告を見守ってくれていました。その時は、いつまでもお元気でいてくれると思っていました。

先週、突然、救急車で運ばれて集中治療室に入ったと聴きました。時々、ご親戚の方に「大丈夫でしょうか」と尋ねていたのですが「もう家には帰れないと思います。それに長くはないかも知れません」と寂しい答えが返ってきました。そんなことはないと思いながら「退院できることを願っています。退院したら連絡してください」と伝えていました。

その日が訪れました。「昨夜、亡くなりました。朝、自宅に戻りました」と連絡がありました。内心「とうとうこの日が来たか」と思いながらも、信じられない思いがありました。

「家族葬なのであまり伝えないでください」と伝言があり、特別に親しかった一人だけに伝えました。彼は言葉をなくし「いつでも会えると思っていたので残念です。会いたい人がいたら、時間をとってでも会いに行かなければと思いました」と返事が返ってきました。

その通りだと思いました。「いつでも会えるから、まだいいや」と思っていると時は光速飛行でもしたかのように瞬く間に過ぎていきます。会いたい人がいれば連絡をする。時間を確保して会いに行く。それが大事なことだと思いました。

葬儀の日。見慣れたお顔の写真がありました。先に書きましたが、お棺の中で眠っているお顔は今にも僕に話しかけてくれるような穏やかで安らかな表情でした。

そして出棺のとき、民謡の会の生徒の皆さんが並び「安来節」を歌って自分たちの先生とお別れました。生徒の中には「安来節」で日本一を勝ち取った方もいて、「安来節」でお見送りする感動を味わいました。そして斎場に向けて車が出発するとき、生徒の皆さんは「長い間、お疲れ様でした」と頭を下げて送り出しました。この姿に再び感動しました。

僕もこれまでのご厚情に心から感謝し、心の中でお別れをしました。優しい言葉、舞台でのお三味線の姿が心に残ります。

その他
  • 和歌山県を活性化させるための会議に参加しました。将来の和歌山県を考えて議論を交わし「動かなければ始まらない」ので、やれることを行動することにしています。
  • オンライン会議でタイの最新の状況を教えてもらいました。先進医療やAIそして品質の高いお米の生産などについて話し合いました。話をしていて「日本は大丈夫か」と思うことがたくさんありました。
  • 有志のメンバーが集まり、今週末で定年を迎えるKさんの送別会を行いました。一人の方は「このメンバーで過ごした日々は人生の宝物です」と言ったように、この世代の頑張りは特筆ものです。別の一人は「みんな状況に応じてアホになれることが凄いと思います。仕事でアホになれる人は良いですね」と話してくれました。仲間との良い時間を楽しみました。