外国で事業経験豊富な皆さんと会議を行い「外国から見た和歌山県」について意見を聴かせてもらいました。参加してくれた事業者の方々は、人生の半分以上を外国で過ごしていることから外国人の視点で日本を見ることができています。そこで和歌山県の良さについて話を聴かせてもらいました。
和歌山県の知名度は低いのですが、ユニークな県だと思われています。県の80パーセントが山であるにも関わらず海が近いことから、山と海のリゾートが一気に楽しめることや、フルーツの品質が良くておいしいこと、醤油や味噌などの調味料の発祥地であることがその要因です。
さらに高野山と熊野古道は日本の神秘であり、ヨーロッパの人はここに行きたいと思っています。つまり和歌山県は魅力の塊であり、チャンスは無限にある県だと言えます。
外国の都会で暮らしている人からすると、都会は見慣れているので特段に行きたいと思いません。文化レベルの高い人や富裕層の人たちは、東京に一度行けば満足するので、二度目からは地方に行きたいと思っています。その中で和歌山県は世界遺産を有していますし、食べ物がおいしいことから、日本に和歌山県があることを知っている人には人気があります。
課題は和歌山県の知名度を高めることですが、これには強い宣伝活動が必要です。「和歌山県に来れば美味しいものがあり、エンターテインメントがあり、リゾートホテルがあり楽しめる」ことを訴えなければなりません。来てもらうために必要な整備を行い、インバウンド観光客を受け入れる宣伝が必要だということです。
外国人に人気が高いのは忍者、禅、写経、お茶などで、これらを提供できる県はそれほど多くはありません。ところが和歌山県ではこれらの体験ができますから、外国に向けて体験旅行を打ち出せば結果が出ると思います。
問題はマスコミや旅行者などへのツアーの打ち出し方です。例えばシンガポールに観光客が集まるのは、たくさんの観光PR予算をかけているからです。必要な人に対しては、一案件当たり1,000万円ほどかけています。ところが日本の地方都市の同程度の観光PR予算は80万円程度なので、観光誘客で太刀打ちできていません。
シンガポールがこれだけの予算をかけられるのは行政と観光やホテルなどの民間事業者が共同して予算を捻出しているからです。日本でも行政と民間事業者が予算を出し合うしくみを作れば観光客は増えると思います。
外国人観光客は旅行している時は夜も出歩きたいと思っています。知らない土地なので、その土地が夜間でも安全で安心できる場所であり、お店である必要があります。安全な繁華街の環境を作ることがまちに求められていることです。
お客さんは「その街が好きだから」リピートするのであって、単に「ホテルが良かったから」など特定の要因でリピートするのではありません。観光客の方々に再び和歌山県に来てもらうためには、和歌山県を好きになってもらう必要があります。そのためには高級ホテルがあっても無理で、街全体に活気があって楽しい雰囲気を創り出す必要があります。
和歌山県の地元とリゾート事業者の全員参加型、オール和歌山県の団体戦で活力を生み出す必要があるのです。それができなければ活力は生まれませんし、観光客も呼び込むことができません。新旧の事業者が団体戦で観光客を迎え入れるために、オール和歌山県になるように仕掛ける必要があります。
参考値ですが「2022年移住地希望ランキング」で、和歌山県は全国8位になっています。
出典は「ふるさと回帰支援センター」です。また「2023年Uターン意欲度」の総合意欲度は19.3点で全国21位になっています。出典は「地域ブランドNews」です。
ところが戻ってこないのは「働く場所、仕事がない」からです。働く場所を増やすことがUターンや移住者を増やすために必要なことです。
和歌山県の将来の希望の持てる、ワクワクする会議となりました。