活動報告・レポート
2024年3月24日(日)
佐々木只三郎
佐々木只三郎 紀三井寺お墓

近江屋で坂本龍馬を斬った人物と言われているのが佐々木只三郎です。そのお墓が紀三井寺にあると聞いたので訪ねました。ところがお墓があった場所に辿り着いたところ、あったはずのお墓がないのです。その場で理由を尋ねたところ「今から3年前、お墓の石が真っ二つに割れたので、ここに埋葬されていた遺骨と共に佐々木家の故郷である会津に持ち帰りました」という回答でした。場所は紀三井寺の墓地の一番上の場所ですが今は紀三井寺にはなく故郷に帰っているということです。

紀州藩と会津藩は徳川家で関係が深かったことから、紀三井寺の瀧本院で亡くなった佐々木只三郎を紀州藩が葬ったということです。位牌には、亡くなった日は慶応4年1月6日、享年36歳と彫られています。

お墓は無かったのですが、瀧本院を管理している稲塚正勝住職を「佐々木只三郎について知りたいのですが」と訪ねたところ、「どうぞお上がりください」と居間に通していただき快くは話を聴かせてくれました。

佐々木只三郎 位牌

驚いたことにここの祭壇に佐々木只三郎の位牌が祀られていて、「毎日、お経を唱えています」ということでした。位牌には前述の通り、只三郎は慶応4年1月6日、享年36歳。

弟の佐々木源四郎が慶応4年5月、享年24歳と刻まれています。佐々木兄弟は、鳥羽伏見の戦いで敗れ、家来の三十数名と共に紀州藩に助けを求めて逃げ込みました。しかし佐々木只三郎は鳥羽伏見の戦いで、京都橋本で腰のあたりを鉄砲で撃たれて負傷していました。

佐々木一行は紀州藩に到着しましたが、官軍の報復を恐れた紀州藩は和歌山城への入城を許さず「紀三井寺に匿ってもらえ」と伝えました。そこで紀三井寺の瀧本院に逃げ込むのですが、到着してから二日後に負傷が原因で亡くなります。瀧本院の過去帳には慶応4年「1月8日入」と記録されています。位牌には1月6日、過去帳には1月8日と記されているのは、住職によると「過去帳への記録は遺体として『上方にて死す。俗名』で記されているので、亡くなって瀧本院に運び込まれた日の記録だと思います」ということです。

過去帳

ところで佐々木只三郎は会津藩で、手代木(てしろぎ)家に生まれています。次男であったため、24歳の時に佐々木家の養子となっています。そんな佐々木只三郎は剣の達人だったので京都守護職として京都に入り、京都見廻組や新選組に剣術を教える程の腕前でした。

当時、幕府から見ると反乱軍である維新の志士を狙っていましたが、その中でも坂本龍馬は要注意人物として狙っていました。

そんな状況下、佐々木只三郎を始め7人は、坂本龍馬が近江屋にいるとの情報を元に現地に向かうことになります。そして佐々木只三郎は近江屋の二階に上り、坂本龍馬と中岡慎太郎を斬ったのです。諸説がありますが「坂本龍馬を斬ったのは佐々木只三郎」という歴史家たちの評価は有力です。剣の達人の二人を斬ることが出来たのは、部下ではなく剣豪の佐々木只三郎本人だという説です。

佐々木只三郎傳

稲塚住職は保管している「佐々木只三郎傳」と「過去帳」を見せてくれました。「佐々木只三郎傳」の目次は興味深い項目が並んでいます。

1.家系・生ひ立ち
5.見廻組時代
6.坂本龍馬・中岡慎太郎の暗殺
7.鳥羽伏見の戦いにおける奮戦

などです。住職の話を聴いて、「佐々木只三郎傳」を読んで、坂本龍馬に係る歴史の行間を見たような氣がしました。坂本龍馬を暗殺した人物は何人かの候補が挙げられていますが、佐々木只三郎は有力な人物の一人です。

鳥羽伏見の戦いで敗れて紀州藩を頼ったのは、会津藩との関係がありますが、奥さんが紀州出身であったことも要因だということです。そんな要因から紀三井寺で弔われ、お墓が建立されたのです。

ただ住職によると「佐々木只三郎が瀧本院に来たことと亡くなったことは過去帳と、当時瀧本院にあった所有物から確かなことですが、残念なことに刀を始め、それ以外のものは残っていません」ということです。

佐々木只三郎傳 佐々木只三郎傳

昨日、「龍馬World in和歌山」実行委員会の会議の席で「佐々木只三郎のお墓が紀三井寺にある」と聴いたので、早速、調査したところ、瀧本院の「過去帳」と「佐々木只三郎傳」そして位牌と出会うことができました。現場を訪ねることが大事だと言われますが、現場に歴史の紋章が残っていました。

自分の中では「幕末の凄い資料を発見した」と思っています。雨の降る中で紀三井寺の階段を登り、現場を訪ねた甲斐がありました。稲塚住職さんを始め、語り部の坂本さん他、紀三井寺の歴史に纏わる話を聴かせてもらったことに感謝しています。

紀三井寺 手水舎天井「青龍」の絵画

ところで、紀三井寺の境内の手水舎の天井には田村画伯の「青龍」の絵画が飾られていました。お手を清める場所での素晴らしい光景に感動しました。