活動報告・レポート
2023年7月24日(月)
薬師寺まほろば塾 和歌山塾
薬師寺まほろば塾 和歌山塾
薬師寺まほろば塾 和歌山塾

「薬師寺まほろば塾 和歌山塾」に参加しました。今回、トルコと日本、和歌山県との友情もテーマになっていることから、「海難1890」の田中光敏映画監督も講演をしてくれました。

田中監督の話は「海難1890」と、日本とトルコの友情の歴史の感動を再び呼び覚ましてくれました。今も「海難1890」の上映会が全国で開催されていますが、その収益はトルコ地震への支援に充当するためです。映画は興行ですから、本来は収益を上げるために上映します。上映して上がった収益はスポンサーにも配分するので、一般的には入場料を寄付するような上映会は成立しません。しかし「友好国のトルコを支援するのであれば上映会をしてください」などスポンサーが理解をしてくれているので実現している取り組みです。

今回「薬師寺まほろば塾」和歌山塾を開催した理由は、入場料を全額、地震被害を受けたトルコに寄付するためです。和歌山県からトルコに寄付をするのは、串本町民とトルコの軍艦「エルトゥールル号」の歴史があるからです。

和歌山県民はこの友好の歴史を知っていますが、全国に伝えたいと思って映画化のお手伝いをした経緯があります。当時から現在に至るまで、「エルトゥールル号」の話を伝えているのが和歌山県民であり、田中監督のこの映画なのです。

田中監督は「エルトゥールル号の物語を映画化するには困難を極めました。スポンサーの支援をいただくことは大変でしたが、積み重ねることが奇跡を起こすと思います。たくさんの奇跡が起きたことから映画化が図れたのです」と話してくれたように、熱意と行動によって実現したのが「海難1890」なのです。

和歌山県民の私達が伝えたい友情の物語であり、日本とトルコが友好関係にあるのは串本町の皆さんがトルコの軍艦の乗組員を救助したからです。しかも自分が食べるものが無くてもトルコの人達を助けようとしたのです。串本町民のまごころが言葉の壁を越えてトルコの皆さんに伝わったのです。

映画の撮影はトルコでも行われました。トルコでは映画に出演する人に朝食を提供し、食事を終えてから撮影に入ります。日本の業界の慣習では、午前7時以前に撮影を開始する場合は朝食を提供するのですが、午前7時を超えてスタートする場合の朝食はなしだそうです。

この文化の違いがあることから、当初「午前7時以降に撮影をスタートする場合は朝食の提供は行わない」と伝えました。そうしたトルコの出演者から反発が起きました。「朝食を食べてからでないと仕事はやらない」と。トルコの撮影現場では8時からであっても、11時からであっても朝食を食べてから撮影をスタートさせます。日本側はしぶしぶトルコの慣習を受け入れたのです。日本の制作陣は「速く撮影を行いたい」一心だったので、しぶしぶスタートしたのですが、これが両国の関係者のコミュニケーションを図るために良かったのです。

スタッフと出演者が現場で一緒に食事を摂ることで会話が弾み、笑顔になったのです。言葉を超えて友好関係をつなぐ手段は「一緒に食事をいただく」ことにあったのです。

最近の日本では一緒に食事を摂る機会が減少しています。時代の要請だと思いますが、人と人をつなぐ手段として食事を摂ることは最適なのです。

このことに気づいた監督や日本人スタッフは、食事を共にすることでコミュニケーションを深めていきました。「海難1890」が感動を呼んだのはストーリーの良さに加えて、スタッフと出演者のコミュニケーションがあったからです。成果は経過の結果ですから、人間関係を大事にすることが大切なことだと思います。

エルトゥールル号の歴史は、今も私達に大事なことを教えてくれています。

続いて薬師寺の加藤朝胤管長の話を聞かせてもらいました。

「人格は一日ではできない。毎日、コツコツと積み重ねたことが人格になる」と伝えてくれました。一日にして成るものはありません。人格を形成するには一週間、一か月でも足りません。何年も修行を続けることで形成することができます。そのために修業が必要なのです。

修業とは、なまけたいと思う心や邪な心を封じ込めるために行うものです。日々の中で修業が出来るなら良いのですが、情報と多くの人に出会う日常では修行になりません。不必要な情報や邪心のある人が近くにいると人格形成は図れないのです。

燻習(くんしゅう)という言葉があります。これは雑音に過ぎない情報や、好ましくない人との交わりが人格に悪影響を与えるということです。人の心は邪心に染まりやすいので、良い人との交わりと、必要のない情報は遮断することが必要です。なかなかそんな環境に身を置くことはできないので、人は修業を行うのです。

そして自分が犯した間違いは、誤魔化すことなく認めたうえで謝ることが大事です。間違いは間違いと認めて正直に伝えることで再起を図ることができます。ごまかしてしまうと後はありません。

加藤管長は師匠の高田好胤元管長に度々怒られたことがあると話してくれました。このように歿後25年経っても「師は高田好胤管長」だと思いますし、そして人生の師は今も生き続けているように感じました。

薬師寺の伝統は継承されて、多くの人に伝達されている。そんな素晴らしい「まほろば塾」でした。

その他
  • 潜水調査の会議を行いました。もし、歴史を蘇らせることに携われるならと思ってワクワクしています。
  • 「ディズニー・オン・アイス」の参加希望のリストが届きました。希望者の喜びの声も届けられました。