活動報告・レポート
2023年7月12日(水)
品質と歴史
品質と歴史

長く外国とのビジネスを行っている方と懇談している中で「日本が世界に誇れるのは製品の品質と歴史です」と話してくれました。日本の良さを的確に表していると思います。

日本経済が世界一と言われていた黄金期である1980年代から続く製品の品質の良さは、今も世界に誇れるものです。同様に世界に誇る価値があるものが日本の歴史だと言うのです。それぞれの国は歴史がある中で日本の歴史は価値があるというのです。

ひとつには「記紀」の時代から続く伝統。もうひとつが日本人の持っている道徳や品格に基づいた歴史があることです。

「片桐さん達が取り組んでいる陸奥宗光外務大臣を称えることも日本の歴史の凄さを外国に知らせる価値があります。当時、世界の国々が列強に飲み込まれていた時代、独立を保った日本はアジアから尊敬される国であり、やがて世界から尊敬される国になっていくのです。ビジネスをしていると日本の評価がよく分かります。
製品の品質の高さ以外に歴史の重みが交渉や取引のときのアドバンテージになっているのです。明治の時代に近代化を推し進め、一等国の仲間入りをしてくれたお陰で現代の日本も恩恵を受けているのです。昭和の高度成長期以降、経済力で世界を席巻したことが尊敬される国になった原点ではありません。近代化を推し進めた時代が現代日本の基礎になっているのです。
欧米と対等になった時期から近代化を推し進め、欧米と対等以上の経済力を持ったこともあって世界から認められたのです」と話してくれました。

世界から尊敬される日本の歴史を築いてくれたのは、この地に生きた多くの人たちのお陰です。史実に残っている人も消えてしまった人もいますが、ここで生きた人たちがこの国を創ってくれたのです。そんな人たちお陰で、私達は世界から認められている現代の日本社会で生きているのです。

この日本が誇る価値を、私達は次の世代に引き継いでいく義務があります。ビジネスにおいて、政治において、文化やスポーツにおいても同様です。義務を果たすには懸命に生きること以外にありません。

「日本が誇る品質と歴史」の評価ですが、次の世代でも同じ評価を受けられるために私達の役割は決して小さくありません。現代の日本社会が、世界から尊敬される国であるように日々の活動を行いたいものです。

史実と史観

「いろは丸事件と竜馬」を読んでいます。サブタイトルに「史実と伝説のはざま」と銘打たれているように、伝えられていることと史実との対比がなされています。ここでは史実と史観についても触れられています。ここで個人的な意見ですが歴史家にとって史実にあることが真実であり正しいことだと思いますが、歴史とは史観も大事だと思います。

史実だけで歴史を語れることはなく、史実と史実の間を埋めるピースが史観だと思うのです。デジタルで記録している訳でもない歴史を完璧に語れることはないので、隙間を埋めるモノが史観であり、この史観は解釈する人によって異なるものです。ですから歴史は一つではなく、また一つでないからこそ、そのすき間を埋められるロマンがあるのです。

「いろは丸事件」に関しても史実はありますが、そこに史観を入れなければ歴史を鳥瞰できません。私達は歴史家、作家、歴史に詳しい人からの話によって歴史観がつくられていきます。史観によっては英雄が悪役になることがありますし、悪役が英雄になることもあるのです。どこに焦点を当てるのかによって人物像は違ったものになります。

だから歴史はおもしろいのです。だから歴史を物語として語ることが出来るのです。評価が固まってしまった歴史は、史観を以て語ることが出来ません。それでは生きた歴史にならないのです。語ることが出来てこそ歴史であり、語れるから楽しいのです。

いよいよ「陸奥宗光と和歌山」が迫ってきましたが、ここで語るのはそれぞれの史観による物語かもしれません。でも史観とは創造力であり、好きな人物の長所を見つけて語れることにあります。

「いろは丸事件」においては、坂本龍馬が英雄で紀州藩が悪役のイメージが定着していますが、「いろは丸と竜馬」を読むと一概には語れないことが分かります。誰がそのことを語るかも大事なことだと思います。