活動報告・レポート
2023年6月4日(日)
四国新幹線

徳島県知事の四国新幹線に関する報道を読んで驚きました。これまで徳島県と和歌山県は、四国新幹線は紀淡海峡ルートで協議を続けてきたからです。国土交通省への要望や関係する府県や政令都市の堺市などとも協議をしているからです。

先の令和6年度に向けての和歌山県からの政府要望では、この紀淡海峡ルートと四国新幹線の構想が消えていたことから企画部に質問を質しています。

参考までに、令和5年5月24日の説明会に関わる内容を記します。

これまで重点施策として国に要望していた「関空・紀淡・四国高速交通インフラの早期実現」が消えています。今回は部局要望として国に挙げる予定ですが、重点施策から外れているのです。これまで前和歌山県知事と前徳島県知事が熱心に国への要望活動やシンポジウムを行っていたので、今回、外れていることは残念です。

当局からは「重点施策の要望から外れたとしても軽視しているものではなく、四国新幹線の整備計画と連携して要望していく」ことの答えがありました。

四国新幹線は整備新幹線計画の中で決定されているもので、ここで計画されている新幹線整備計画の中で、未着工な路線は四国新幹線だけになっています。今後、計画を進める上において必ず議論されると思いますので、和歌山県の大事な取り組みとして継続させたいと思っています。

当局からも「次の整備新幹線計画によると四国新幹線」と答えがありましたから、継続した取り組みを行っていくものと考えています。

参考までにこの計画は「紀淡海峡ルート」の構想であり、徳島県と和歌山県を結ぶ高速道路と共に四国新幹線の整備を目指すものです。和歌山県では前知事のときに「紀淡海峡ルート」構想を復活させて関西と四国の府県と連携して取り組みを行っているので、継続させるべき構想だと認識しています。

この構想を推進するために平成 25 年 9 月 21 日に「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」を結成し、今日まで活動を続けています。

この協議会の設立目的は次の通りです。

双眼型国土構造の構築、日本の成長、リダンダンシーの確保など、高速交通インフラ整備の意義を共有する関係府県が協力しつつ、関西、四国、九州の地域間の交流を拡大する取り組みを積極的に進めることを前提としながら、現在整備が進められている関西大環状道路、大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスの早期整備、さらに紀淡海峡ルート、四国新幹線の実現に向けて取り組むことを目的としています。

続いて、協議会が目指しているものは次の通りです。

  1. 関西国際空港の機能強化に繋がる大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスの早期整備
  2. 関西大環状道路、大阪湾環状道路を結ぶ紀淡海峡ルートの実現
  3. 西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現
  4. 第二国土軸としての国全体のリダンダンシーの確保

また構成府県は次の通りです。

大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、徳島県の各知事。オブザーバーとして香川県、愛媛県、高知県、大分県、宮崎県の各知事。

この四国新幹線には、これまでも現在も二つのルート案があり協議を続けてきた経緯があります。僕も前飯泉嘉門前徳島知事とは何度か話を交わしたことがありますが、淡路島ルートを推進していました。

この四国新幹線の二つのルートについて説明します。

一つは淡路島から大鳴門橋を渡り淡路島から和歌山市に至る淡路島ルート。もう一つは岡山県から瀬戸大橋を渡る岡山ルートです。

新幹線基本計画では、「四国新幹線」として、大阪市を起点として淡路島、徳島市、高松市、松山市を経由して九州の大分市に抜ける淡路島ルートが定められていてます。一方、「四国横断新幹線」として、岡山市から高知市に抜ける岡山ルートが定められています。

ところが令和5年5月25日の「近畿ブロック知事会議」で後藤田新知事は、「四国は一致して岡山ルート。徳島が賛同することによって、四国はまとまりますので、ぜひお願いしたい思います」と発言しました。つまり前知事が推進していた淡路島ルートから岡山ルート推進に転換する方針を示したように映ります。

これまで香川県、愛媛県、そして高知県が岡山ルートを推進しているのに対して、徳島県は「紀淡ルート」を推進してきました。ここで想定されているルートは、大阪市を起点として関西国際空港に入り、そこから和歌山市から紀淡海峡を横断して徳島県へと至るルートです。

現在、和歌山港と徳島県の小松島港の間に南海フェリーが航路を持っており、明石海峡大橋の開通以前には、関西から四国にアクセスする主要ルートであり、現在も、四国と関西国際空港を結ぶルートとして重要視されています。

報道によると「徳島県がこのルートに懸ける情熱は長く、熱い。例えば1985(昭和60)年に開通した徳島県と淡路島を結ぶ大鳴門橋は鉄道スペースが設けられている。また1990年代には、和歌山市の友ヶ島を経由して淡路島まで架橋する『紀淡連絡道路』が構想され、実現が間近であるとされた時期もあった」というものです。

真意は分かりませんが、もし徳島県が「岡山ルート」に向かうとすれば、「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」は骨抜きになりますし、これからの活動が難しくなるとともに、紀淡海峡ルートの構想は限りなく困難になるのは必至です。

和歌山県の将来と第二国土軸の必要性を考えると、和歌山県として、また「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」として対応が必要だと強く思います。