活動報告・レポート
2018年2月14日(水)
体操の田中先生
体操の田中先生

和歌山県体操協会の田中章二理事長と懇談する機会をいただきました。田中先生はリオデジャネイロオリンピックに体操競技で三兄弟が出場した田中和仁選手、田中理恵選手、田中佑典選手の三兄弟のお父さんです。現在は和歌山オレンジ体操クラブのコーチをしていて、今も小学生から高校生までの体操選手の育成を行っています。

田中先生は「体操は芸術です」と話してくれましたが、子ども達には相手と勝負を競うスポーツでありながらも芸術であることを意識させているそうです。それは勝負だけを意識すれば勝ち負けだけの価値になりますが、芸術だと意識することで自分の技術精神を高めることになるからです。勝負を価値と考えると相手の失敗を喜ぶこともありますが、芸術の心を持っていると、ライバルの選手の競技を観て「この選手は凄い」と感動することもあるそうです。ライバルの競技を観て感動できる選手の方が人間としての幅が広いと思います。

「子ども達をそんな選手に育てたい」と思いを語ってくれました。

ところで最近の子どもは横の関係の中で育っているので縦の関係が弱くなっていることの指摘がありました。縦の関係が弱いということは、コミュニケーション力が弱いということです。先輩から後輩へと指導がされていないので、年上の人に対する接し方が分からないことや、うまく言葉が使えないこともあるようです。

その事例を紹介してくれました。

昨日、体操教室を欠席した子ども達に対して、その時に子ども達に配布したプリントを取りに来るように伝えたのです。翌日、欠席した一人の子どもが田中先生の体操教室にやって来ました。

子どもは田中先生に対して「かみ」と一言だけ言って手を差し出したのです。田中先生は「これではコミュニケーションが取れない」と思い、机の上にあったティッシュペーパーを一枚取り出して「はい、紙」と子どもに渡したのです。

その子どもはプリントをもらいに来たから「かみ」と伝えたけれど、その言葉では意思が伝わらないことが分かり、「昨日休んだのでプリントをください」と言ったそうです。それで田中先生は子どもにプリントを渡しました。

田中先生は「最近の子どもはコミュニケーション力が低下しています。体操の指導を通じて縦の関係を教えることでコミュニケーション力を身に付けさせたいと思っています」と話してくれました。

最近の子どものもうひとつの弱点は、人と違う行動や態度を取ることに抵抗があるということです。講義を受けた後の質問時間で手を挙げて質問をすることや、模範演技で人前に出ることなどを避けたがる傾向にあるそうです。

尤も、人前で話すことや演技をすることを好む人は昔から少ないのですが、最近は更に少なくなっていると言います。今の子ども達が大人になった時の舞台は世界です。世界と戦う時代になっていると思います。外国人とビジネスをする時に、コミュニケーションが取れないことや、意思表示ができなければそれだけで交渉は終わってしまいます。そんな事態にならないように、田中先生は子ども達には体操を通じて人間力形成の指導をしているのです。

田中先生から体操を習った子ども達の中から、田原直哉選手がエアリアル競技で平昌冬季オリンピック出場を果たしています。元々体操の選手だった田原選手ですが怪我をしたため体操を諦め、エアリアル競技でオリンピックを目指したそうです。夏季と冬季のオリンピック選手を輩出した体操教室は「他にないのでは」と田中先生が話してくれました。

世界で戦う選手を輩出している田中先生の指導から学ぶことがたくさんあります。

起業家

和歌山市で起業予定の方が大阪市内から和歌山市に来てくれました。企業立地や和歌山県内での起業について話し合いました。この方は、現在、大阪市内で会社を経営しているのですが、和歌山市の気象条件や気候の適地性があるので、新しい事業を和歌山市で起業してくれることになりました。

「関西空港に降り立った外国人のクライアントが和歌山市に来てくれることになります。外国人は和歌山市に来ると、恵まれた自然とコンパクトな街を気に入ると思います。そんな市内で工場を持っていることを売り物にできると思います」と話してくれました。

ナイトスポット

インバウンド観光とナイトスポットの充実についての協議を行いました。観光客が来た時、「和歌山市内に遊べる場所がない」という話を聞くことがあります。地方都市はエンターテイメントの分野が弱いことを指摘されているのです。和歌山市も例外ではなく、夕食を終えた後、行く場所が少ないのでホテルに直行してしまうケースが多いようです。

そこで外国人が楽しめるナイトスポットを紹介しようと考えて関係者と協議をしいるところです。直ぐに成果は上がるものではありませんが、きっかけをつくらないことには成果は期待できません。ナイトスポットを周遊できる和歌山市の可能性を話し合いました。