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2024年3月15日(金)
業者に損害賠償請求検討 八郎山ずさんトンネル工事で和歌山県
紀伊民報

和歌山県の県道長井古座線の八郎山トンネル(串本町―那智勝浦町、711メートル)のずさん工事で、供用開始予定が大幅に遅れることを受け、県は工事を請け負った共同企業体(JV)に対し、損害賠償請求を検討している。

トンネル工事は淺川組(和歌山市)と堀組(田辺市)のJVが施工したが、内壁「覆工コンクリート」の厚さが全体的に不足するなどずさん工事が発覚。JV代表の淺川組が自社負担で、全国でも異例のほぼ全面的なやり直し工事を進めている。これで供用開始予定が昨年12月から約2年ずれ込む見込みとなった。

このことについて片桐章浩議員(改新、和歌山市)が14日、県議会建設委員会で「県民の利益遺失に該当する」とし、損害賠償請求の考えはあるかと質問。

鈴木伸幸道路建設課長は「損害額の算定方法やどのような形で請求できるかについて、弁護士と相談している」と答えた。当初の予定通り供用していれば通行できたであろう車の数などの算定を検討しており、供用開始時期のめどが立った時期に請求したいという。

■厚さ「問題なし」 過去の淺川組施工分

福本仁志県土整備部長は、淺川組が単体やJV代表として過去に施工した、県管理道路のトンネル13本の覆工コンクリートの厚さを調査したところ、全て所定の厚さを満たし、問題がなかったと報告した。

昨年、書面調査した11本と、完成後30年以上が経過し書類が残っていなかった2本を調査したという。